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■BUZZが再び脚光を浴びる

    ― まずはデビュー33周年おめでとうございます。
    今、1972年のデビューシングル『ケンとメリー〜愛と風のように〜』がマンダム ルシードのCMで取り上げられて話題になっていますが、そんな中で、先日『ケンとメリー』のマキシシングルとベスト盤が2枚(初CD化作品を含む貴重な音源を収録)。そして、やはり初CD化の『A New Day A New Time』が同時発売となりました。
    特にベスト盤2枚はBUZZの魅力が凝縮されたものとなりましたが、BUZZを聴いたこと無い方々にその聴き所をお聞かせください。

    ■『BEST of BEST』と『SUPER SELECTION』は、シングルを中心にした、BUZZの聴き易い曲が収録されてます。この2枚を聴けば、BUZZ通として語れるでしょう。 でも、まだまだ、いい曲がありますよ!
    A new day a new time』は作曲家、筒美京平氏をブレーンに迎え、ポップな作品が収録されてて、どれもシングルカットしてもよさそうな曲ばかりです。
    僕としては、このアルバムがCD化されたのがうれしいですね。

    ― 『BEST of BEST』には『ケンとメリー〜愛と風のように〜』のB面で、幸宏さんが作詞、東郷さんが作曲の『悲しい歌はもううたわない』が収録されています(1978年リリースの『風のゆくえ』には再録音されたバージョンが収録されているが、こちらはオリジナル・バージョン)。お二人の共作で、シングルのみだったということで、とても貴重な音源がやっとCD化されました。2003年10月17日スイートベイジルでのライブや、2005年9月19日の品川プリンスホテルでのライブでも演奏された初期の名曲の内の一つですが、この曲で何か覚えていることがありましたら教えてください。

    ■僕はアマチュアバンドの時は、ずっとギターをやってたんですけど、たまたま、家に姉が習ってたのでピアノがあり、見よう見まねで、コードを弾いたり、つたない指で我流で弾いてたんです。それで、『悲しい歌・・・』は初めてピアノで作ったら、幸宏の兄、信之氏に『ギター2人ってグループはあるから、おまえ、ピアノやれよ!』と言われ、なんとレコーディングでも、弾いてしまい、そのまま、BUZZはギターとキーボードのグループになったんです。
    だから、『悲しい歌は・・・』はBUZZの編成を決めた曲ってことです。

    ― そして、同じく『BEST of BEST』には『レクイエム・ザ・シティ』の中の『BYE BYE PARTY』が収録されています。同アルバムには11曲中、6曲の作詞を幸宏さんがされていて、うち3曲を東郷さんが作曲されています。 これは個人的に、私の大好きな曲の一つなのですが、東郷さんもお気に入りの曲ときいたことがあります。まず、メロディーがぐっと来きます。また、詞は後年の幸宏さんのソロの原型的なロマンティックな感じが既にあると思います。この曲の魅力を東郷さんのお言葉で語っていただけますか?

    ■『BYE BYE PARTY』の魅力って言われると難しいんですが、幸宏の詞は、ストレートなラブソングじゃなくて、ちょっと、斜から見たって言うか、ちょっと、屈折した角度から表現してる詞が多いんですよね。
    例えば『僕は楽しい』って言いながら、実は泣いているっていうのとか、その逆とかね。 あいつはひねくれてるのかなあ・・・(笑)

    ― そして、もう一枚のベスト盤『SUPER SELECTION』にはまず、『出来るたけいつものように』が収録されています。 これはBUZZの3rdアルバムで(ライブを含む)オリジナルとしては2作目の『レクイエム・ザ・シティ』の一曲目を飾る曲で、かつ、先行シングル『さらばTOKYO』のB面にも収録されています。 こちらも幸宏作詞で、東郷さんが作曲ですね。 この曲について覚えていることがありましたら教えてください。

    ■当時、幸宏は、中原中也、立原道造に凝ってて、彼等のような詩を書こうと思ってたところへ、童謡で『あの街、この街、陽が暮れる、陽が暮れる』って歌があって、それをヒントに作られた詩で、そのイメージは曲で言うと、ランディニューマンをイメージしたんで、その感じで作りました。

    ― 『サマービーチガール』は、1976年発売の4thアルバム『君を迎えに来たよ』の先行シングル『はつかり5号』のB面でした。こちらは作詞は竜真知子さんで、作編曲は幸宏さんですね。また、山下達郎さんがコーラスをされていることでも知られています。ビーチボーイズ風というだけでなくポップな面のBUZZがよく出ていると思います。 この曲を幸宏さんに依頼された時は、何かご要望はあったのですか?

    ■別にこの曲に限らず、幸宏と僕で色々曲を作ってたんで、特別なことはありません。 ただ、当時、達郎と知り合って、お互いの交流の中で、『ビーチボーイズ風の曲があるんだけど、手伝ってくれない?』みたいな感じだったと思います。

    ― 『雨ン中』はやはり『君を迎えに来たよ』リリース時のシングル『わかれ〈詠訣〉』のB面でした。これも幸宏さん作詞で、東郷さんが作曲の一つです。アルバム収録曲は、小出さんの作詞作曲されたものが半数をしめているということもあると思いますが(1stと3rdは小出さんの作品は各一曲でした)、シングルのB面のみでありながらこれもまたいい曲ですね。この曲についても何かエピソードがあれば教えてください。

    ■これはねえ、幸宏と女性との別れについて話してて、『かっこいい別れ方』みたいな話題になって『雨が降ってる時、外に出て涙を雨が流すってシチュエーション、いいよね!
    それもポップな曲で!明るい別れのほうがせつないもんね』みたいな話をしてたんだと思います。

    ― 『ケンとメリー〜愛と風のように〜』は、当時日産スカイラインのCMで大ヒットた曲ですが、過去に何度かカヴァーされていて、2002年には福山雅治さんが『The Golden Oldies』というアルバムでカヴァーされていましたが、お聴きになったことありますか?

    ■聴きましたよ。Keyもかなり低めで、BUZZの感じとは、ちょっと違った、そう、渋めのケンメリって感じですよね。彼のように、いい男だからこそ歌えるようなバージョンって感じですよね。